准教授・公募

伊都キャンパスをフル活用!
情報技術に基づく
行動変容デザインやナッジメカニズムに関する研究者募集

なにをやっているのか?

渋滞情報や雨雲レーダーなどの「情報」に基づいて、行動決定を行うことが当たり前な時代となりました。この背景は、ICT(Information Communication Technology)とAI(Artificial Intelligence)の進化に他なりません。常に持ち歩くスマホやスマートウォッチにはさまざまなセンサが搭載され、そのデータを用いて、人の行動、嗜好、感情を認識しようとする研究が進んでおり、近い未来、人の行動が予測される時代が到来するでしょう。

本研究ユニットでは、このような社会において、人のウェルビーイング向上を1つの大きな目的として、情報科学だけではなく、心理学、行動経済学、応用行動分析学、認知行動科学、公衆衛生、都市デザインなど、人の行動に関係する様々な学問分野の研究者が集まり、行動変容をデザインする社会に関わる研究を進めていきます。

ゴミの捨て方を変える、といった小さな行動から、交通やエネルギー、環境といった大きな行動の変化まで、広く取り扱い、できるところからやっていこうと考えています。例えば、UCLAから、ナッジを用いて、ワクチン接種行動がどう変わるかを調べた研究がNatureで発表されています。

Behavioural nudges increase COVID-19 vaccinations | Nature

このような研究をどんどん実施する研究拠点にしていきたいと想っています。

なぜやるのか?

行動変容に関する研究において、大切、かつ、問題になってくることは、社会実装・実証です。人の行動は、極めて多様で、コンピュータの中で評価できるものではありません。実環境で、長期間運用し、その中で、さまざまなICT技術や、心理学や行動経済学に基づいたナッジを埋め込み、行動にどのような影響を与えるのか、与えないのかを評価できることが理想的と言えます。

しかしながら、これまでは大学は基礎研究、社会実装や実証は企業や自治体任せという形が一般的であり、技術を同社会に浸透させていくかという部分は、学問化されていませんでした。ユニット長である荒川は、2016年に、情報処理学会・関西支部の下に、「行動変容と社会システム研究会」というものを立ち上げ、自治体や企業の方も含めた議論を重ねてきました。そして、オフィス内での行動変容など小規模な実験を行いつつ、2020年からは伊都キャンパスを舞台とした混雑回避行動変容実験を開始しました。

伊都キャンパスのポテンシャル

2019年から、九州大学において研究を進める中で、伊都キャンパスのポテンシャルを認識しました。272haという広大な敷地(日本最大)において、これまでも自動運転や車と連携した信号制御といった他ではできない研究が行われています。

伊都キャンパスのポテンシャルは、土地だけではなく、そこに通う1.8万人の学生、を忘れてはいけません。2020年6月には、全国に先駆け、キャンパス最寄り駅、キャンパス内のバス停混雑度情報を提供するサービスitoconを開始し、三密回避のために時差通勤・時差通学という行動変容を促し始めました。2021年4月には、キャンパス内すべてのバス停に加え、主要な食堂に混雑度センサを設置し、日々、学生たちに使われています。行動変容の効果を高めるべく、

  • この食堂混雑度情報に加え、ポイントを付与するという、NTTドコモとの共同研究も2020年11月からスタートし、

  • 現在1500名の学生モニタを対象とした実験を敢行中です。

  • 行動を変えるために、プッシュ通知の文言や送信タイミングなどからデザインし、効果測定を行っています。

  • 今後は、ゲーミフィケーションに関する実験もスタートします。

糸島のポテンシャル

九州大学・伊都キャンパスは、福岡市西区と糸島市にまたがっています。自然豊かな(悪く言えば田舎)な糸島は、この20年で大きく変化し、移住者も増え、世界的にも注目されるエリアへと発展しています。

九州大学は、糸島市や地元の事業者(例えば、交通事業者である昭和バス)など様々な連携を行ってきています。伊都キャンパスで1.8万人の実験でうまくいったことを、次は10万人の糸島市へ適用し、さらには、他の市町村へ展開していくといった長期的なシナリオを描いています。

伊都キャンパス・糸島から、人の行動を変えていく技術のイノベーションを生み出しませんか?

こんなことを一緒に研究できる人を探しています

  • 職種:准教授(テニュアトラック)

    • 基本任期は採用日から5年であり、3年目に中間評価、5年目にテニュア資格審査を受けて、研究業績等が優秀であると認められれば、本学のテニュア(任期を定めない定年制の身分)が付与される。

  • 所属:大学院システム情報科学研究科・情報知能工学部門・高度ソフトウェア工学講座

  • 職務:

    • ウェルビーイングを目的として、人の行動変容を促すナッジメカニズムデザイン・行動モデリングの理論的研究、および前述した理論に基づくキャンパスでのエビデンス実証に関する研究

    • システム情報科学研究院(大学院研究組織)・システム情報科学府(大学院教育組織)・工学部電気情報工学科(学部教育組織)・その他関連部局における教育ならびに研究

      • (追記)工学部・電気情報工学科・2年生のプログラミング系講義を担当頂く予定。

      • テニュアトラック期間は、講義負担を軽減し、上記1科目のみ

    • 医学、心理学、社会科学、認知行動科学、行動経済学、応用行動分析学、公衆衛生学、都市工学など、情報科学以外の専門性も有する方を歓迎します。

  • 詳細

  • 申込期限:2022年1月7日(金) 必着(メール応募)

企業の方を始め、さまざまな研究領域の方からの応募お待ちしております!